ニューロフォリア ボールペン。
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ボールペン。

達哉がアホの子になりすぎて書くのをやめてほってた掌編www
あほさを抑えることが出来たので公開!!!!www
シバルバー内での達純達な感じのちっちゃなやり取りのお話。
 俺は意地になったら一直線になる悪い癖がある。あいつはいつも俺をじーっとみていて…。

「ちっくしょっ!このっこのっ!」
 ムキになって小さな手帳にグリグリと溝を掘る。掘れども掘れどもインクはでない。困る、コレは、非常に困る。
「そんなんにムキんなんねーで先に進んだ方が賢くねーか?」
 栄吉は歩き疲れた足をマッサージしている。さすがに皆疲れた様子でぐだぐだとしたムードが辺りを漂っていた。
「くそっ!誰か書くもの持ってないか!」
「さすがに私も今回は情人を擁護できないなー…知ってて言ったんだよね…淳のパパの所に辿り着くまでまだまだ遠いって…」
 無機質な金色のブロックで構成されたダンジョン、緑色のレーザーが俺たちの行く道を遮る。ややこしい構成、やたら襲ってくる悪魔たち…。俺たちはすっかり疲労困憊だった。金色のブロックに座って、リサは足を交互に揺らしてジトーっとこちらを見てくる。
「…だってまさか…こんなにダンジョンが広くなるなんて思わなかったから…そ、それにすぐに地上に帰れるエレベーターとかさ…あると思ってたから…」
 舞耶姉が淳とアイテムについて打ち合わせをしている。続く戦闘でストックが大分少なくなっているようで、二人とも少し困った顔をしている…相当使ってしまったらしい。お金はあるので、後はどうやって補給しに行こうかという所か。
「エレベーターかぁ…ちょっとシバルバーの便利さに期待しすぎちゃったね、でもまぁきっと大丈夫!足りなくなったアイテムは悪魔から奪っちゃおう!おなかが空いたら案外悪魔だっておいしく食べれちゃうかも!レッツポジティブシンキングー!!」
 舞耶姉がニコっと笑いかけて胸の前で拳を握ってガッツポーズを向けてくれる。
「いやぁそれはちょっとポジティブじゃなくね!?」
 栄吉がすかさずツッコミを入れた。
「…おーいだれか書くものくれー…」
 好き勝手騒ぐメンバーに唇をとがらせて抗議してみるが誰もこちらを見やしない。
「どうしたの?達哉…」
 俺は背後を見る勇気が無くて、ガリガリ溝を掘る作業を続ける。声をかけてきたのは淳だ。見つめ合う視線はレーザービームで恋人!?関係の淳なのだ。だからこそ俺には振り返る資格はないのだ。
「…怒ってるの?」
 すぐ後ろに気配がする。
「…怒ってる」
「皆が好き勝手するから?」
 ふっと背中に淳の体温が伝わってきた。ほんのり暖かい。
「違う…俺の自分勝手さに怒ってる」
 頭を少し後ろに傾けると、柔らかい髪が触れた。
「ごめんな…俺のせいで親父さんとのこと、解決するのが遅れちゃってさ」
「…いいよ別に…だって達哉にだって思うところがあったんでしょ?」
 そっと淳の手を握る。花のトゲでも刺さったのか、悪魔の攻撃のせいか、少し傷だらけだった。
「…だってさ、怖くねぇ?俺たち敵の本当の正体知らないんだぜ?ここにいるってことはジーっと相手から見られてるってことで、相手がちょっと望めば俺たちなんかプチっとつぶされるかもしれない…」
 髪と髪がこすれあい、後頭部に淳の頷く仕草が伝わってくる。
「そんなスゴい奴倒すんだぞ?世界を動かせるような奴を…そんな奴倒してさ、この街は無事でいられるのかなーなんて」
「んー…わかんないね」
「俺たちホントにずっと皆一緒にいられるかな?」
 淳がクスクス笑っている。
「こら、君はリーダーでしょ、それにここはシバルバー!ほら、レッツポジティブシンキング!」
 ふっと淳が立つ気配。淳に軽くもたれていた俺は転がりそうになった。…背中にあった温もりはすぐに冷めていく、なんとなくそれを寂しいななんて味わっていると。突然手に持っていたボールペンが奪われる。
「…あ」
「もしかすると、案外もっと単純だったりするかも」
 淳が口を開け、ハァーっとボールペンに息を吹きかける。ボールペンの金属部分が一瞬曇り、また銀色に光る。
「ほら、書いてみて」
 手にもったボールペンをぐりぐり動かすと、ペン先の後から黒いラインがすぅっとついてきた。
「…あ…出た…スゲェ!淳は魔法使いか?」
「あはは、違うって…息を吐きかけるとインクが出やすくなったりすることもあるよねって、試してみただけだよ」
 後ろを振り向くと、淳は微笑んでいた。頬がみるみる熱くなる。
「地図、書き終わったらさ、引き返そうよ!アイテムのストックも無くなってきたし」
「おう」
「ここまでの道のり、ややこしかったもんね、達哉はだから地図描くことにこだわってたんだよね?」
 リサの笑い声が聞こえる。
「もー情人ってそういうとこあるよねー!イライラしたりすると、前しか見えなくなるって言うか…」
 栄吉が立ち上がり、ギターケースを背負う。
「ったく、気が済んだか?俺たちはすっかりリフレッシュしたぜ!」
 舞耶姉が笑う。
「わかるよ、いろんなこと不安になるよね、私たちにはあんまりに大きなこと背負って歩いてるんだもの。シバルバーに不安が出ちゃったんだね、いいじゃない!いっぱいお宝あるんだし、レベルだってガンガンあがるし!悪い奴なんかあっと言う間にチョメチョメしちゃうぞー!!」
『オオオー!』
 なんかスゴく皆から気を使われていたようで、恥ずかしくなる。
「聞かれてたか…」
 なんだか気恥ずかしくなってジッポーをいじる。カチンという音は無機質な風景に心地よく響く。
「達哉ってポーカーフェイスに見えて、結構分かりやすいところあるもんね」
「…うっせ…じゃなくて…あ、ありがとう…」
 淳がそっと手を握ってくれる。
「あのね、きっとこのダンジョンの広さ…君だけのせいじゃないよ。きっと皆の不安がこのダンジョンを広げてる。皆が怖いって思ってる。」
 そう言って淳は真っ直ぐに目を見つめて微笑む。
「僕だって怖いよ、一番怖がってるのはきっと僕。でもね、君がいるからこうやって先に進めるんだ。大丈夫、僕らのリーダーは頼りになる漢だもんね」
「ん…」
 淳は俺の気持ちを微妙に察して優しく心に触れてくる。
「だから、達哉の背中を貸して…僕たちを導いて…」
「わ、わかった…任せろ…その代わり…」
 それ以上先は言いたくない。それを口にすれば俺が弱くなるから。でも淳は敏感にそれを察してくれる。
「うん!ずっと側にいるから、約束だよ」
 左手に巻かれた腕時計にそっと唇を寄せる淳。それを見てようやく俺は自然に笑えた。俺は後ろを振り返らない。だから相手がついてきてくれるかどうかなんて確認できない。でも、淳はその背中にそっと触れて俺に皆がいることを教えてくれる。振り向かなければいけないタイミングを教えてくれる。
「引き返してエレベーター乗って、アイテム調達して?」
 淳が指を折りながらこれからやらなくてはいけないことの確認をする。あれが足りなかったよね?武器は大丈夫?ペルソナは?食事もしたいよね?
「戻ったら…地図見てここまで戻ってきて…今度は淳の親父さんとこまで突っ込む!」
 二人、拳を合わせる。
「うん」
 俺が見えてない部分は淳が見てくれる。俺が手を伸ばせない部分は淳が手を伸ばしてくれる。
「達哉ががんばって地図描いてくれたから、安心して戻れるね」
 振り向けば…皆が笑顔になる。

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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