ニューロフォリア 浄のセクソロジー
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浄のセクソロジー

男色について調べていると、本当にいろんなことを考えさせられる。
特にこの「浄のセクソロジー」は実際にその時代近辺を生きられた
熊楠さんの知識と経験が書かれている。

「男道には浄と不浄がある」それが己の説だと言われるけれど、
それは熊楠さんお一人の感じ方ではなく、今までいろんな人と出会い、
会話し、実際に見聞きして見つけた「彼なりの結論」なんじゃなかろうか。
そしてその結論は私にとっても、ものすごくしっくりとくるものでした。

男同士にしろ女同士にしろ、男女にしろ……
恋愛ってのはそもそも惚れるのは「その人自身」であって、
「男だから」「女だから」ではないでしょう。
男色だけじゃなしに恋愛に「浄と不浄」があると思う。
そして必ず肉体関係が「不浄」で無いことも確か。
高まる思いの果てに結ぶことは悪いことじゃないと私は思う。
相手が求めてやまないことを良しとして果たすことは
一種面倒を見ることだし、そういう行為をする相手はきっと
お互いに「その人だから」こそお願いをするのだと思う。
双方共に「その人」でなければお断りするだろう。
……たぶんそれが「浄の道」なんじゃなかろうか。

感想をちょっぴり書いてみる。
後半は少しだけこの本にあった「島津豊久」について引用してます。
熊楠さんは性に興味を持ち、それを尊敬し、同時に笑い飛ばす人だと思う。
雑誌に投稿された論文なんかを見ているとそう思う。
資料を提示して度々言われることは
「これはまったくもって嘘ばっかり書いてる本ですが、
その嘘の中に事実は一つも無いとは思いません。
似たような事件や事柄があったものと思います」
というようなこと。
現代マスコミでも何かしら事件の「性を誇張し笑いやなんかのネタにする」手法で
読者の興味を引いて雑誌を売っているわけですが……
何百年も前も同じやりかたのわけですね。
でも熊楠さんが手にしはるような大昔の本はあくまで
「庶民向けの笑い話」がメインだと思いますが!
なのでお笑い向けに例えばの話、この本の著者を
「ちんぽこ尻衛門」(テキトー訳)と書いたりして、
最後まで笑いに徹します。(男色者をからかい嘲笑う要素もあるかも)
ところが現代はそんな嘘八百ならべてもそれが嘘だとわかる要素はどこにも入れない。
今のマスコミのゲスさとは比べようもなゲホゴホ。
それを理解してか面白いところは面白いと
ガッハッハと笑いながら書いてるさまが思い浮かぶよう。
しかし、あんまりに細かいところまで描きこまれてるこの書にはやはり、
どこか事実が混ぜ込まれているのでしょう。なるほどなるほど。

熊楠さんのおかげで歴史資料の読み方を勉強させていただきました。
「歴史の事実を知りたいなら『なるべくその時代に近い書物』を当たりなさい。
それでも事柄を捻じ曲げてある場合もあるから鵜呑みにしてはいけないよ」っと。

さて、第二部から岩田準一さんとの書簡集になるわけですが、
ここでは同性愛研究の同士である岩田準一さんに対し、何度か
「それは違いますよ」と叱りの言葉をくれます。
例えば男色研究に夢中になってふと
「どうしてこんなにも男性の伝説が多く女性の伝説が少ないのでしょう」
ともらしたことに対して、
「それはあなたが男色の話ばかりを集めるからじゃないでしょうか?
 実際、私の地元ではほとんどが女性の伝説です」
と考えを改めるように言ったり、
「児(ちご)の石の伝説は男寵の伝説として考えていいのでしょうか?」
と男同士の肉体関係面での研究を進めようとしたことに対して
(岩田さんに関しては書簡が残ってないので実際の内容はハテナ)
「それは一概にはとても言えない。実際の史跡を調べたとしても
 児といえどもいろんなタイプがある。ですがその伝説が
 どのタイプかということがわかることは、まず無いでしょう」
と思いとどまらせたりします。
次いでこの時、当時の旅がいかにつらく苦しく、
現代のように設備が整っているわけでもないために、
長い旅路の途中で病にかかってしまえば足手まといとなり、
いかに愛らしい子どもだったとしても死に至る病ならば
崖から突き落としたり一思いに殺して先を急がねばならぬ場合もあった、
と悲しくも当然な例を出しました。

そんな様子を見ていると、南方熊楠さんの歴史に対する見方、
昔の人々に対する尊敬の念がうかがえる気がします。
「本当の事を知りたいならば、昔稚児だった和尚さんに会って見なさい。
 一度その雰囲気やらお話やら見聞きすれば、大体のことはわかるでしょう」
「あんまり私を頼っちゃいけません。自分で調べて自分独自の道を行くのです」
と言ったようなこともおっしゃってたり。最も至極でございます。

えっとちなみにポツポツ、オタネタをwww
この「浄のセクソロジー」には二回「島津豊久」の名前が現れます。
どちらも同じ内容で、ロンドンの総領事である
薩摩出身の荒川巳治から聞いた「思い差し」について。
(P376の真ん中あたりとP468の真ん中あたり)

『島津豊久(関ヶ原で討死)ことのほか美少年なりし。征韓の役に臨み、家中の勇士を一人一人前へ呼んで思いざしせり。それゆえ猛士みなおのれ一人を主君はことに愛せられると思い、みなみな一気に猛戦せしということなりし。』(浄のセクソロジーP468)

とありました。
この思いざしなんかも面白おかしく「要はホモだろ!思い挿しwww」と
笑い飛ばす人もおりますが、死を眼前にして
ずっと前々から思っていた人物と二人っきりになれば
中には肉体関係を望む人もいたでしょう。
それを受け入れるのも男の度量ですよ。
だけどメインは「上司がわざわざ自分一人に酌をしてくれた」
事へ関する感動。尊敬と愛の狭間、浄の男道であります。

あともう一つ。書簡の相手の岩田準一さん……
江戸川乱歩を超愛してたそうですね!!(同性愛的な意味で)
しかもこの方あの「孤島の鬼」の箕浦金之助のモデルと言われているらしく……
しかも熊楠さんと岩田さん、二人とも柳田國男さんと関係してるしねぇwww
なんだこの人間関係すごいなぁ!!www
どんな時代に生きていたのかが見えるようですね!

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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