ニューロフォリア 嘘吐き人魚サンプル
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嘘吐き人魚サンプル

7月13日GBW6の新刊

「嘘吐き人魚」
R-18 スクティツ A5/56P/500円 

ポンテ・デレ・テッテで出会う
男娼ティッツァーノと死体の掃除屋スクアーロ
愛し合うほどに己が過去におびえて生きる。
嘘をつき、人魚に憧れる青年と
人魚にする術を持つ魔法使いの青年のお話。

usonincover.jpg

スクアーロがギャングの死体掃除屋、ティッツァーノが男娼という
厨二病炸裂過去捏造なお話です!!
 家々の間、狭い水路にかかる小さな橋、ポンテ・デレ・テッテ。遠い昔、旅人達にヴェネツィアの名物として歓迎の宴として、女達の肉体を並べ、惜しみなく放り出されたその豊満な胸で飾られた橋。
 ゴンドラに乗ってゆっくりと運河を渡る青年は、そこに過去の幻影を見てゾクリとふるえた。橋の欄干に小さな灯りのついた燭台を置いて、艶やかにほほえむ、一人の黒い娼婦がいた。
「……あ……」
 青年は橋を振り返ったことを後悔した。しかしもうすでに遅い。喪服の女はこちらにほほえみかけたのだ。
 そして……過去の亡霊は、その口紅で彩られたくちびるを動かして、語りかけてくるのだ。
「……ピノッキオ……」
 あまりに声が小さくて、青年は思わず聞き返してしまった。
「……な、なんだって?」
 娼婦は口の端を持ち上げて笑った。顔を覆う黒いベールごしでも、その口の表情だけはかろうじてわかった。
「あなたの職業はなぁに?ゴンドリエーレ?それとも魚売り?」
 女の声は地をはうように低くい。青年はその幽霊の正体に気づくと、ひどく気分を害した顔をした。
「ハァ?おまえ何言ってんだ?オレにケンカ売ってんのか?」
 女は楽しそうに欄干にひじを突きながら、ゴンドラを止めてこちらをニラ見つける青年をながめていた。
「どこに売りもんの魚があるってんだ!ゴンドリエーレでもねぇよ!ふざけんな!」
 こっちは不快な仕事を片づけたところだ。しばらくは誰とも口をききたくないとすら思っていたのに……変な奴に捕まってしまった。
「ねぇ、それじゃあ魚売りのお兄さん、魚を一匹くださいな。ほら、あなたの後ろ、大きなサメを一匹……」
 ふわりと風でめくれあがった顔を覆う黒のベールの下の肌は褐色だった。幽霊の仕草はとてもやわらかで上品、育ちの良さがうかがえるようだ。思わず青年は幽霊の一挙手を目で追った。
「……魚売りでもねーっての……で、俺が魚売りだとしてだ、それを買ってどうするんだい?そのサメ。油で揚げてパクっといくってのかい?シニョーレ」
 もしかして、この幽霊には見えているのだろうか。大切な商売道具であり、大事な相棒が。
「オレのクラッシュのこと言ってんだったら、食おうもんならその身体がたちまち、ブクブクにふくれあがっちまうぜ」
 喪服の幽霊は口に手を当ててクスクスと笑う。声の響きは心地よくて、なんだか思わず耳をすませてしまった。
「あなた、おもしろいのね。その売り物のサメに名前を付けているの?」
 まだ冗談を続けるつもりの女に腹が立ち、青年は眉をつり上げた。
「……あんただって随分と面白ぇじゃねぇか、おっぱいが無ぇくせに、おっぱい橋で客引きなんてよぉ」
 幽霊は黒のベールを額までめくりあげた。少しだけ不機嫌そうな表情を浮かべている。どうやら彼のプライドを傷つけたようだった。しかし、現れたその美貌に、くやしながら……目を奪われた。
 褐色の肌、澄んだ青空のような瞳……垂れ下がる一房の銀髪がさらりと頬にかかった。
「……なぁんだ面白くない。男だってわかってたのか」
 ゴンドラの青年はその笑顔に目を奪われて竿から手を離し、落下したそれはゴトリと音を立てた。
「オレはティッツァーノ」
 黒い青年はそう名乗った。
「……ス、スクアーロ」
 思わず名乗る必要が無かったことに気づいて、あわてて口に手を当てた。
「スクアーロにクラッシュ……覚えておくね。オレに会いたかったら、またここを通るといい。……君のように面白い人なら、少し安くしてあげるから」
 しかし、こいつの職業は間違いなく、ポンテ・デレ・テッテにふさわしいものだったらしい。一瞬、その褐色の肌にかかる白濁を想像して頭を振る。
「バカヤロー!男を買う趣味はねーよ!」
 すぐに頭に血が上る、そんなスクアーロを見て、ティッツァーノはまぶしげに目を細めた。優美なほほえみに顔を真っ赤にしたスクアーロを気遣うように、クラッシュは鼻先でゴンドラを押した。


   ◇ ◆ ◇

「ここ、見てください。鞭をもらったんです」
 そういって、胸の間に残るくぼんだ古傷をすっと指でなぞる。スクアーロは眉をひそめた。
「ほら、ここにはタバコを押しつけられた」
 持ち上げた太股の内側をすぅっと指が這う。ティッツァーノは柔らかな褐色の肌に残る痛々しい傷跡よりも、そのしなやかな体に目を奪われてしまった。確かにそれは、女の柔らかな体とは違って褐色の肌はうっすらと筋肉のおうとつが浮かぶ。それは街で見上げた雄々しい彫刻のそれとも違うしなやかさを持っている。
男も女も混ぜ合わせたようなその身体は、きっとティッツァーノだけが持つ、この世界でも唯一無二の美なのだろう。
 スクアーロの視線からあふれ出る称賛に、ティッツァーノは頬を染める。
レースに覆われた白い下着の下で、ピクンっと陰茎が反応した。こんなにもやさしく身体をながめまわされたのはずいぶんと久しぶりだった。
「君は掃除屋だ。俺の体が醜くなる前に……キレイさっぱりとこの世からオレという存在を消してほしい……」
 ブラジャーを下げて、胸に手を這わせる。色素の薄い乳首がちらちらと褐色の指の間からのぞいた。スクアーロの呼吸は荒くなっていく。ティッツァーノはスクアーロの視線を受けて、恥ずかしそうにガーターストッキングをはいた足をすりあわせた。
「君の、血肉になりたい……」
 スクアーロは目を血走らせ、ティッツァーノの上に馬乗りになった。いそいそとツナギ状の服を脱ぎ、ティッツァーノの両足を押し広げた。白い下着をずらして、褐色に咲く花のようなアナルを露出させる。乱暴な動作を受けてはずかしそうに身を縮めながらティッツァーノは恥ずかしげにいう。
「オレの身体で足りないなら……いくらでも……それ以上の料金を出します……」
「……ハッ!商売なんてどうでもいいくらい死にたいのか?なんでオレなんだ……路地裏をうろつく……野良犬みたいなオレなんだ……」
 何人もの男のものを咥えこみ、あらゆる被虐に耐えてきただろう、ひくつくアナルに、先端をあてがう。マヌケ通りにやってきたマヌケ女をそうするように、スクアーロは突然腰を突き上げた。
「ひあぁっ……んくぅっ……!」
 だけどティッツァーノの穴はスクアーロを受け付けるのに何の準備もいらないようだった。ねっとりとからみつく腸壁のしぼりだすようにうねる動きに、スクアーロは思わずため息をもらした。
「うあぁあ……はぁ……」

 ◇ ◆ ◇

 人魚姫は泡になって消えるのだ。何度も繰り返された物語の結末はいつも同じ。いつかその時が来ることを知っているし、オレはその美しいエンディングを待ち望んでいた。彼女の死は最後まで美しかった。脚を欲して魚の尾を捨てた彼女は、もう彼女を受け入れてはくれない故郷に飛び込んだ。深い青の海にただ沈んでいき、じょじょに体は虹色の泡になり、太陽の光に向かって昇って行くのを見上げるのだろう。ようやくオレは、彼女が見上げた美と同じになる。抑圧する海水から解放された虹色の泡は、風になって世界へ流れていく。
 愛しい人の血肉になりたい。ずっとそう願ってきた。だから、後悔はしていない。

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
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