なんとか「
熊襲」が仕上がりました!!
確実に10月に頒布できます!
!72P/600円です!!
んでもって、これからもう一冊の「叉鬼」にかかるんですけど、
その前にちょっと……どうしても白いワンピース着た与一ちゃんが書きたくてッ!!
……アホなお話を書きました。
白いワンピースがメインだったはずなのに、知らない間に
とよいちのズレっぷりを考えるお話になってしまったwww
かわいいよーとよいちかわいいよかーわーいーいーよーwwww
すがすがしい香りが鼻をくすぐる。
むき出しの岩肌のような廃城の壁、
四角に切り取られた窓には白い布がはためいている。
「んあ、なんじゃ……俺はまた、こげな時間まで寝てたのか」
太陽光が布を透かして真っ直ぐに豊久の顔を照らすから、思わず目覚めたのだ。
しかし、こんなに日が天に近くなるまで寝たのはいつぶりやら。
辺りを見回すが、誰も人の気配が無い。
汗で湿った頭髪に指を突っ込んでわさわさとかき回した。
「そうか、ここは薩州でなかったんだ」
何度目を覚ましても、知った顔はそこにない。
何度目を覚ましても、知った空が目の前に無い。
緊張感が無いのもこの穏やかな気候のせい。
気温は熱いくらいなのかもしれないが、
このあたりは森の中ために涼しいくらいだった。
今ごろ薩州はどれほど暑いことだろう。
立ち上がり、腰に手をあててウンと伸ばす。
何せ鎧具足を脱ぎもせず石畳の上に寝てしまったから体中が痛くてかなわない。
「何よすれあいいのかな」
自分でそうつぶやいて、あんまりの間抜けさに鼻で笑う。
これが平和というものか。
首をゴキゴキならしながら部屋を出る。
めずらしく机の前に信長の姿もない。
ふあっとあくびしながら、廃城の外に出る。
与一の姿が見えないことが気になって、眠い目をしばたたかせ、
ぼやぁっとした声で名前を呼ぶ。
「与一ィー」
部屋に弓も矢筒も立てかけてあったので、
さほど遠くへは出ていないだろうと思ったのだ。
ましてや武士の魂をおいてエルフの訓練場には出かけないだろう。
あの小さい身体でちょこまか走り回っては、
なんやかやと世話をしてくれる与一にまず会わねば
今何が起こっているのか、何をすべきかもわからない。
「お豊、起きたのー?」
うれしそうな返事が、思ったよりも近くから聞こえた。
どうやら廃城の裏にいるらしい。
のそのそ歩いて円筒形の廃城をたどって行く。
一瞬、豊久は目を見開いて立ち止まってしまった。
青い空、流れる白い雲。
風はふわりと石けんの香りをこちらに運び、
太陽の光が干された真っ白な布に反射する。
そこに、あのいつ見てもせわしない少年がいた。
緑色の草原に桶を裏返して器用に積み立て、
その上に乗って背を伸ばし、雲と同じくらい白い敷き布をかけていた。
伸ばしたかかとが危なっかしく見えるが、
案外あの軽業師にはなんてことはないのだろう。
馬の尾のように長い黒髪を揺らしながら、振り向いた。
真っ白な肌に好奇心でキラキラ光るやんちゃな黒い瞳。
不機嫌そうに突き出されているか、うれしそうに
ニィっと上がるかしか見たことのない、薄紅のくちびる。
「みごて景色だの……」
異界の景色だけれど、それはなぜかひどく豊久の心を打った。
特に与一が身にまとう風にはためく白い服。
太陽の光に透かされて細い身体の線が見えていた。
「もう少し待っててよ、もうじき全部干し終わるから!」
顔にかかる黒髪に手を添えて、こちらを振り向いて笑う。
豊久は目を細め、口の端を上げながらどっかりと草の上に腰を下ろした。
「俺が知る景色にはちょいと赤が少し足りないの」
けぶる灰もそこにはない。青と白と緑、そして与一の黒髪と肌の色。
戦場にいる時の置いてけぼりにされたような視線ではなくて、
生き生きした好奇心の瞳。与一にはここが似合うように思う。
「空も緑もおめさんも、すっぺ(全部)がきらきらしちょっ」
アゴに手をあて、足に肘かけて豊久は言う。
「お、めずらしく詩人だね」
与一が笑う。豊久はからかわれて、眉をひそめた。
「人は暇があるから詩を歌うんだって聞いたな」
空っぽになった洗濯籠を両手いっぱいにかかえて、廃城の裏に作った棚に戻した。
終わった!と叫んで背を伸ばすと、ニヒっと笑って裸足で草の上を駆けてくる。
なんだか、まだボォっとしている豊久を押し倒すようにすっ飛んできた。
……が、豊久はそのまま抵抗もせずに草むらに押し倒される。
そしてそのまま、なんとなくひなたぼっこをする。
「豊久ってさ、ずっとずっと忙しかったんだろ」
白い薄衣の少年は首を傾げる豊久の上をよじよじのぼって、やってきた。
「合戦、合戦、また合戦!終わったら食う飲む!
ここに来てからの生活の、倍くらい忙しかったんじゃない?」
つつっと細い指で赤い陣羽織に指を這わせる。
何度も繕った一張羅。何度も拭った傷だらけの身体。
与一は向こうの豊久の歴史の鍵を知っている。
「ん、だな」
豊久の真っ黒な瞳には、流れる雲が映っている。
きっと彼はこんな風に空を見上げたことは数えるほどなのだろう。
人生五十年。その半分以上を過ぎたというのに。
「だから今、どうしていいかわかんない……」
暇を過ごす、そういうことを知らないのだ。
「だな」
その赤い陣羽織ごと、ぎゅうっと身体を抱きしめる。
大好きな豊久の匂いを吸いこんで、ほほがぽぉっと熱くなる。
「こういう何もない時間、キライ?」
与一が胸に顔を埋める。
「さぁの」
「お豊はさ、まだこういう時間に慣れてないから
そういうこと言うんだよなぁ……」
この白い服は本当に生地が薄い。
腰に手を回せば、すぐに与一の体温を感じられた。
その腰の細さも、尻の形もまるわかりだ。
「おまえの着ちょっ薄ぃ服はなんだ」
「エルフの女の子がくれたんだ!これすっごく楽なの!
上からすっぽり着るだけだし、涼しいし!」
尻の双丘を割るようにワッシと掴むと、与一はキャっと悲鳴を上げて
豊久の胸につかみかかった。
「なっなにをするんだよ突然!」
「布が薄すぎて、いろいろ透けちょるぞ」
しかもそうやっていると、垂れ下がった襟から胸が丸見えだ。
豊久は厳しい表情をする。
「こげな格好をしちょっと、おまぁが恥(げん)ね目にあうだけだ」
「ち、違うだろう?お豊が勝手に僕にムラムラしてるだけじゃん」
与一は、この薄布がふわふわ風に舞うのがとてもきれいだと思っていたのに、
このガチガチ頭の大将にしてみれば男を誘うヒワイな服というわけだ。
そうは言うものの、豊久の目はあまりに真剣で、
これは本気のお怒りモードだなと観念する。
「ほら、こげな事されたらどげんすっ」
薄い生地ごしに尻をもみ、すぼみを指でこすると、
乳首がツンと勃起しはじめた。
「ひぁっ!!んっ……そ、そんなことするの……お豊だけだし……っ!」
「わからんぞ、おまぁを狙ってるえるふ達が
ここぞとばっかいに尻を揉んかもしれん
それにおまぁのマラが透けて見えちょっ!
いつも言っ聞かすっとじゃろ、褌をはけと」
与一は顔を真っ赤にした。
なんなんだろうこのたまにやってくる豊久の心配性は……。
「だってぇ……!褌……締め付けて……こすれて……
はいてるほうが変な気分になっちゃうから……」
尻を上げて、与一は胸に顔を埋め、陣羽織をギュっと握って
豊久の愛撫に耐えながら抗議する。
「……ふぁ……ぁ……も、やめろぉ……」
「やめても良か。じゃっどん、ほんのこてわかっちょっのか?」
「……んぅう……わかったよ……
わかったからもう……お尻……もまないでぇ!」
せっかく与一さんに似合うんじゃないかしら?と、
エルフの少女が親切に貸してくれたきれいなワンピースも、
豊久にとってはただの布切れか。
ほんの少しでも豊久にほめてもらえれば
うれしいなんて思って借りてきた自分がバカだったのか。
与一は涙目になって、でも豊久の熱くて大きな手に愛撫されるのが心地よくて、
薄い生地ごしに自身をしごいた。
「んあぁ……んっく……うぅ……」
目に涙を溜めて、でも火照る身体を止められなくて……。
「……与一、まちっとこっちに登れ……」
与一はおとなしく言うことを聞いて豊久の顔に胸があたる辺りまで登ると、
ガバッと片腕で抱き寄せられた。
「ほれ見ろ……ほんの少しずらすだけで胸が丸見えじゃ」
そのまま幅の狭い袖をずらして胸を、ちゅうっと吸われた。
「っひぁっ!?なに……なにするのぉ!」
そのまま胸に吸い付かれ、布越しに後穴に指を突き入れられ、射精してしまう。
「んやぁ……お豊の……バカ……ばかぁ……」
豊久の上で果てて、ぐったりした与一は泣きながら言う。
「も……二度とこの服……着ない……からぁ……!
もう……もう……やめろぉおおおっ!」
頭にたんこぶをつくった豊久は、頭をさすりさすり、
ぼぉっといつもの藍色の着物に着替えた与一をながめていた。
ぷりぷり怒りながら、洗いたての白いワンピースを干している。
「のぉ、与一、白れ着物、似合てたぞ。
いけんしてんう二度と着ないんだ?」
こっちを振り返った与一は顔を真っ赤にして言う。
「い、今さら言ってもおそいの!」
まったくこの大将はいつどこが起点になって発情するのやら未だにわからない。
「のぉー、与一。いっぺこっぺ透けてるから言っかすっただけじゃ。
ないごてそげん怒こっのか」
そのうえ、どこかこう……感情の時間差を感じてやりづらい。
「じゃ、じゃあ普通に言ってくれりゃいいじゃんか!」
「触って知らせたほうがよくわかっじゃろ?」
与一は顔を真っ赤にした。
「も、もう豊久のバカバカっ!
僕なんか一生この着物でいればいいんだ!」
ぬぅっと背後に気配を感じる。
「ないごてさっきから怒っちょっんだ。
怒いたいのは俺の方じゃろ……
大事な与一に虫がついたら俺が敵わん」
「……へぁ!?」
思わぬところで告白されて、与一の頭は沸騰した。
「しかしこん着物も、こん隙間はどうかと思もどげな」
そう言って、ずっぽりと大きな手が、ふとももを撫でるようにして
ススっと内腿へとやってくる。
「ふあぁ……!!もっもう……」
「なら、ここをふさげば良かじゃろが。与一は無防備すぎる」
ああ、なるほどな。豊久は何の悪気も無いわけで、
ただ与一を心配してこういう行動をとってしまうだけなのだ。
……わかっている、わかっているんだけど……。
豊久の手がきゅうっと与一のマラを掴む。
「もぉ……やらぁ!洗濯物ふえちゃうぅ!」
顔を真っ赤にして思考がまともに働かなくなった与一はただ叫ぶ。
「そか」
しかし、そう叫ぶと豊久はあっさりと引き下がる。
「ななな、な、なんだよぉ……
こんな中途半端にうずいたまんまで放置するなんてぇ!」
「んむぅ、ワガママじゃの……ならば脱げば良か」
突然帯を解かれてズルッと下衣をひんむかれた。
「ワァアアア!」
まったくもう、全部全部、この大将のせいで台無しだよ。
でもそんなわけのわかんない豊久が好きで好きで仕方ない。
「うえぇええん!バカバカバカバカバカお豊ぉおおお!!」
「なっな、ないごて俺がバカなんじゃ!」
しかし、豊久も豊久で、すぐにかんしゃくを起こす
この小さな与一の扱いに戸惑っていたりする。
「……あのな、与一……あの白れ着物……
お、俺の前だけなら着ても良か……」
顔を真っ赤にして、目をつぶり、思い切って豊久は言う。
「ほらぁ!またこんなところでそんなこと……」
豊久がかわいいやら、なんでこんな最悪な
状況の時に言うんだろうとか、
オーバーヒートした与一の顔から湯気が出る。
しかし、このあんまりに真剣な豊久の表情。
思わず笑いだしてしまう。
「……わ、わかったよ……約束する……
お豊の前だけで……着るって……」
それでもお互い、大好きなんだからしょうがない。
――終