ニューロフォリア Deep Breath×2
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Deep Breath×2

親友のまんまの達淳。タイトルはP3の街のやつwww
「怖くない…怖くない…」
 淳は小さくつぶやきながら歩んでゆく。
 その隣を達哉がごく自然に歩いている。緊張など微塵も見られない。
 彼がポーカーフェイスなのは誰もが知っている。

 だけどこの瞬間にまで彼はとても冷静だった。
 でも、淳にとってはそれが何よりありがたいと思うのだ。

 淳は、達哉が自分を許してくれたことがうれしかった。
 獅子宮で、もし淳と同じ立場になっていたら、
 同じことをしたかもしれないと言ってくれた。

 達哉と淳は同じ夢を持っている。
 『夢を持つことの素晴らしさを伝えられる人になりたい』
 同じ夢を持ち、身長は違っても二人は同じ目線。
 お姉ちゃんに言われたからじゃないけれど、
 きっと二人は誰よりもお互いに近い存在なのだ。

「……大丈夫。俺がずっと隣にいる」
「うん、だから怖くない」

 淳の額にはそれでもうっすらと汗が浮かび、
 笑みを浮かべる口元も、わずかに引きつっていた。
 近づけば近づくほどに、濃くなる敵の気配、強まる視線。
 緊張するなという方が無理かもしれない。
 この先に待っているのは淳の父…だった正体不明の何者かだ。

 父だと信頼しきった淳の心の方向性を捻じ曲げ、暴走させ、利用した……。
 運命をすら操ることができるのかもしれない、あまりに強い力を持つ何か。
 それはもしかすると、「神」という存在に近い相手なのかもしれない。

「………」
 達哉は軽くその眉をひそめた。
 達哉だって怖かった。
 淳だって怖かった。
 他の皆だって……怖かった。

 相手は得体のしれない者なのだ。
 この先など正直、予想をすることもできないだろう。
 この心の強さが反映されるシバルバーで、
 勝ちのビジョンを思い浮かべ続けることは困難だった。

 でも、一番相手の近くにいて、その力を知ってなお、
 自分が奪った人々の未来を取り返すため、
 子どもたちの未来を勝ち取るために立ち向かう淳。

 敵を一番怖れているはずの淳が、懸命に口の端を上げて
 笑みを浮かべる姿を見ると、負けられないと思うのだ。
 淳のそんな姿は決して勇ましいわけではない。
 むしろ、隣にいる達哉には怯えが伝わってきた。

 だから……達哉はそっと深く呼吸をした。

 スゥっと冷たい空気が喉を通り、胸を満たす。
 フゥっとはくと、体温で暖まった空気が出ていく。
 胸が透いた。

 淳は突然立ち止まった達哉の方を少し驚いたように見上げると、
 先ほどより自然な笑みを浮かべた。

 淳も立ち止まって深呼吸をする。
 大きく息を吸うと、透明な気持ちであふれて……
 息をはくと、淳を脅す思い出の数々が消えていく気がした。

 そんな二人を見ると、まわりもほほえましくて、
 小さな笑いが漏れた。

「怖いか?」
 達哉は淳に尋ねる。
「ううん……もう怖くないよ……」

END

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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