ニューロフォリア ボイポス・アポローン
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ボイポス・アポローン

ボイポス・アポローンは輝ける太陽神というアポロを称える呼び方。
昨日ノヴァサイザーでメタル・淳にトドメさして
ハァ…なんかロマンチックに終われたなぁなんて思ってたら、
今朝突然、アポロ×メタル・淳に目覚めたわけでwwwww

誰得?私得!!!超短編です↓
ボイポス・アポローン

懐かしい風景…もう今は会うことを許されぬ友人達。
その口から漏らされるのは達哉を恨みさいなむ声。

「ずっと一緒って約束したじゃないか…」

 愛しい人の声でニセモノは言う。姿かたちはかつての恋人、ただ、金色に光る金属製の体をしている。メタリックに輝く髪の部分には達哉が舞耶姉を守るために斬りかかった刀傷がくっきりと浮かんでいた。その刀傷がまた、達哉に罪悪感を起こさせた。

「一緒に舞耶姉さんを守ろうって約束したじゃないか」

 その金色の唇は開かれることはないのに、歪んだエコーが心に響く。何もかもが達哉にとっては残酷なほどの罰だった。周囲では大人たちが呼吸も荒く脂汗をかき、激しく動揺を見せる達哉に視線を送っていた。ヤツが達哉の心の弱さから呼び出した普遍的無意識の一部、メタル・淳。わかっていても心を壊されそうになる達哉の姿を、どこからか観察しているニャルラトホテプは嘲笑しているだろう。悔しさに歯噛みするよりも先に、自分を責め、殺そうとする淳の姿に体中から力が抜けていく。
 達哉は強がっていた。一度は「一人の方が楽だ仲間と一緒に戦うことに違和感がある。」なんて口に出してみたものの、それを強がりだと見破った大人たちは優しく達哉を言葉で、行動で包み込んでくれた。だからもう、少しは孤独も紛れて大丈夫だろうと思っていたのに…。いざ淳の姿を目の前にすると激しく心が揺らいだ。
「達哉クン…!」
「あ、あぁ…!!あいつの弱点は…地属性だ…」
 舞耶姉さんの呼びかけで少し心が落ち着いた。唯一かつての記憶を共有する存在。俺たちのお姉ちゃん心を強くしてくれる存在…。かつての友人の姿をとったメタル達から憎悪が伝わる。彼らも欲しているのだ、お姉ちゃんの傍にいることを…温もりを…それを独り占めする達哉を憎悪している。
「カウメンア…達哉…闇のフォーミーラヴァー!!」
 メタル・リサの呼び出した美の女神、アフロディテ。その攻撃から憎悪と同時に悲しみが伝わる。リサは達哉を情人(チンヤン)と呼び、何があっても慕ってくれている可愛い妹のような存在だった。涙を流すはずもないのに、メタル・リサの頬に光る筋が見えた気がした。
「リサ…は…火属性に弱い…」
「おい、小僧…ためらうなよ…」
 大人たちが冷静に判断を下し、回復魔法が飛び、そして魔法の攻撃がかつての友人達を傷つける。達哉は胸の痛みに強く胸を握り締めた。皮製の赤い服がギュウっと音を立てる。心を鬼にして友人と一緒に戦っていたあの時からちっとも変わらない、赤く輝く太陽神アポロを呼び出し、炎を操った。
「達哉君…あたしが早く終わらせてやるからね!!」
 いつもはホヤっとしているうららでさえも真剣な表情で月の従者カリストを呼び出す。巨大な岩が降り注ぎ、メタル・淳が小さくうめく。その声を聞くと達哉の顔が真っ青になった。
「達哉!大丈夫か!次はお前のターンだぞ!」
 炎を操りながらこちらを見つめる兄さんの叱責が飛ぶ。ためらっているうちにメタル・栄吉が天に手をかざした。
「すまねぇ…タッちゃん…こうするしかねぇんだよ…!!血のハネムーン…!!!」
 皆のムードメーカーだった栄吉が、変わる事のない苦しみの表情を浮かべながら金色に輝く地獄の支配者ハデスを呼ぶ。ためらいのない攻撃のはずなのにどうしてそんなに苦悩するのだろう?こいつらは本当に…俺の友人ではないのか?
 しかし、友人の攻撃にさらされ、召還された屍の花嫁に抱かれ、一瞬達哉は冥界を見た。なんとか気を立て直し、キっと前を向く。金属製なのに…苦悩以外の表情もないのに…それでも達哉には友人達としか見えなかった。変わらぬはずの彼ら表情が達哉の記憶とリンクして、泣いたり…怒ったり…そして、最後には達哉に向かって微笑んだ。

「さぁ、楽になろうよ…」

 メタル・淳の背後で優しい金色の翼が開かれた。時の神…かつては彼の宿命を切り裂いた父殺しのクロノス。しかし、その力強く羽ばたいた翼から来る風は、達哉の体のケガを癒すことはない。それどころか空気を奪い去り、窒息しそうなほどの強烈な風が達哉の体を襲う。やがては形を変え、服を切り裂くカマイタチとなる。思わずうめき声を上げた。鮮血と共に淳の呼び出した風に目から溢れ出た雫をさらわれた。
『尖鋭奇岩!!』
 うららと兄さんの声が重なり、巨大な岩の牙が地面から淳の体を突き上げた。細身の体は吹き飛び、金色のかけらが辺りに飛び散る。重い音を立てて地面に落ちたメタル・淳は膝を突いた。達哉は天に手をかざし、もう一人の自分に呼びかける。
「ノヴァ…」
「達哉…君は僕が憎いの…?」
 切なげな声が心にエコーした。
「サイ…ザー…」
 達哉の背後に凛として太陽神が現れる。彼の力によって一瞬空気が凍りつき、時が止まる。瞬時にしてメタル・淳の前に陣取ると、ゆっくりと円を描くように両手を挙げる。が、アポロの仮面の奥、青く輝く光がためらう様に揺らめいた。それを見ると、膝を突いていたメタル・淳はゆっくりと立ち上がる。
「いいよ、ためらわないで」
 あちこち金属製の体が欠けたメタル・淳は止まった時の中で動いていた。
「君の手で僕を心の海に帰して…」
「おぉお…」
 アポロは悲しげに呻いた。
「君の停めた時間の中まではニャルラトホテプの監視は届かないみたいだね…」
 メタル・淳は切なげに微笑みながらアポロに近寄ると、宙に浮いたその体をそっと抱きしめた。細身だけど筋肉質。長い戦いで積んできた経験がこの体に現れているのだろう。かつての体とは感触が違うことに淳は寂しげに微笑む。その頬に光る雫がポツポツと落ちた。アポロの仮面の下から伝った彼の涙だった。
「ねぇ、僕であるこの時に、君の手で心の海に帰してくれないか。」
 アポロの仮面の下では、どこか無表情を貫く達哉の顔があるのだろう。なんてことないという表情をしながら…なのに…こんな暖かい涙を輝く青い瞳から零れ落とすのだ。
「…注いで…君の光を…」
 メタル・淳の頭上にアポロの手がかざされる。それを見ると、メタル・淳はそっとアポロの体からはなれ、うれしそうに目を細めた。
 ここは無意識層。メタル・淳は自由に動ける。憎き敵であり、ある意味自分の父であるニャルラトホテプの監視から逃れられる場所。二人きりになれるこの空間で愛する人に葬られるのなら、何よりも嬉しい。
「淳…」
 アポロは小さく呟くと、その掌にエネルギーを集中させる。暖かな太陽の光も度を越せば灼熱となり、地面をさえも焼き払う核熱となる。今、メタル・淳の中に巨大なエネルギー塊が叩き込まれる。悲鳴をあげ、体を仰け反らせるかつての恋人と同じ姿をした敵を見て、アポロの胸が激しく上下した。そして、ただ何もいえずに熱を放つ金属の体を抱きしめた。強い熱を放つ金属の体は白い手袋をした手を焦がし、その赤い服を燃やし尽くそうとした、アポロはそれでもメタル・淳を抱きしめた。淳の手がアポロの胸をそっと離そうと押したが、アポロは力が強い。小さな泣き声が仮面の奥から漏れ聞こえた。メタル・淳は諦めたように手を胸から離すと、アポロの首に腕を巻きつけた。
「優しいね君は…ありがとう…」
 メタル・淳は苦痛の表情を和らげた。アポロは何も言わない。声一つ漏らさないように唇を噛みながら、自分を求めるメタル・淳を抱きしめ続けた。メタル・淳の金属製の髪に触れた仮面の半分が黒く焼け、ひび割れた。そこから幾滴も幾滴も、煌く雫が落ちていく。それはメタル・淳の髪に当り、肩に当り、頬を流れ、蒸発していく。何度も熱がその雫をかき消しても…それでもメタル・淳に注がれる。その煌きは太陽の光のように暖かくメタル・淳の心に差し込んだ。
「きっとまた会えるから…君も…僕も…心の海の…一部でしょう?」

 時がまた動き出す。達哉の背後にいるアポロの表面は焼け焦げ、半分黒くなった仮面がモロモロとくずれ、涙を流す達哉そのものの顔をさらけ出し、消えていった。大人たちは何があったのかわからず、ただ動かないはずの表情で微笑んで消えていくメタル・淳と、焼け焦げたアポロを見た。

 達哉は、そっと唇を開いた。
「淳…俺…絶対負けないから…」

 理由もわからず。そう呟いた。
 ただ、心の中で太陽が強く光り輝いていた。

 その光り輝く太陽が達哉に強く決心をさせていた。
 日本刀を握るその手に、力がこもる。

「ヤツを倒し、悲劇を終わらせるから…待ってろ…」

 達哉の瞳に青い光が静かに輝いた。

-END

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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