ニューロフォリア ホワイトソース
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ホワイトソース

バレンタインデーもやったんで、なんとなしにホワイトデーもやってみる。
即行でつくったらくがきのような掌編です。
達淳達のつもり。最近のマイブームかも。
どっちでも読めるものを目指すのってwww
黒須家秘伝のホワイトソース。
昔住んでた家から見つけたママのレシピを見ながら作る。
小麦粉、バターをよく練りこんで…

ミルクによーく溶かし込む…
隠し味は…えーっと…

ママのおいしいオムレツ、ママがご機嫌なときにたまにかけてくれた、とっておきのホワイトソース…。

「ふんふんふーん…」

自然に鼻歌が飛び出してくる。
幸せな僕の記憶、ホワイトソース。
そして今日はホワイトデー。

「でももし…達哉がバレンタインデーは淳の誕生日だろ?お返しするのなんておかしいとか言い出したらどうしよう」

案外達哉はそういうところが頑固だから本当に言い出すかもしれない。
でも、かもしれないばかりを気にして何もしないのも楽しくない。
だから今はお料理に没頭…。

ホワイトソースをスプーンにすくって味見をする。
頬はぽっと熱くなる。
できたできた!そうそう…この味なんだ…。

達哉の部屋のキッチンは以外と綺麗な道具が並んでいる。それは使っていない綺麗さではなくて、細かい性格がよく出ている綺麗さ。
「きっとこういう道具のメンテなんかにも燃えちゃうんだろうね…」

細かくてちょっぴり頑固で、可愛い達哉。
汚した後は綺麗にしないときっと怒るのだろう。タマネギを飴色になるまで、焦がしたりしないように注意しながら炒めていく。

だから作る料理はそんな子どもな達哉に合わせてグラタンにする。あいつはお肉が好きだから、きっとちょっと硬めが好きなはず、茹でていたマカロニを出して、飴色タマネギと一緒にママのホワイトソースに混ぜ込んだ。

あとはお皿にしいて、チーズをかけてレンジのオーブンモードで暖めておいた中にお皿をいれる。
後は焼きあがるのを待つだけ。

なんでホワイトデーにグラタンなんかを焼いているかというと、達哉が甘いものが大の苦手だからだ。パティシエを目指すお兄さんの実験台にされて、毎日のように甘いもの責めにされたせいだとか。少しうらやましい。僕も何か達哉にトラウマができるほど酷いことをしてみたい。

でも達哉は以外と繊細だから、一度壊しちゃったら立ち直れるか心配だ。だからそこらへんはとても慎重にやっているつもり。

わざと怒らせてみたり、軽く噛んでみたり。みんなの見ていない隙を見て抱きしめてみたり。達哉の反応がおもしろくて、小さないたずらを繰り返す。
それでも達哉は僕のそばを離れない。
だから僕もそばを離れない。

「何?君ってマゾなの?」
そう言って笑うと、達哉は真っ赤になりながら怒る。
「なっ…ち、違うに決まってるだろ?」
「だったらリサのそばにいてあげた方がいいんじゃない?優しくない僕なんかじゃなくて…」
「なんだよ…拗ねるなよ…急に」
達哉は僕を選んで近づいてくる。早く認めればいいのにと思う。僕にいじわるされたくて仕方ないんですって。
「君こそ拗ねるなよ」
「うっ…」

少し袖をあげて、左手につけた腕時計で時間を確認する。
僕はこの時計が大好きだから、無意識のうちに何度も時間を確認してしまう。
達哉はそんな僕を見てニヤリと笑う。
「淳はせっかちなのか?」
こんなことで僕をやっつけられると思ってる。
「君こそライターばっかりいじって、世話しないね」
「…んっ…」
達哉はいちいち悔しそうな顔をする。それがとても可愛い。

玄関のドアが開く音、めんどくさげなため息、バタバタと靴を脱ぐ音。
「ん…なんだ、淳が来てるのか…」
僕は洗った手をタオルで拭いて、玄関に顔をのぞかせる。
バイトが大変だったのか疲労顔。
どんなに疲れてても自慢のメッティーカットは崩れていない。
「おかえり、もうすぐできるよ、晩ご飯」
「どうりでいい匂いがすると思った」
達哉は当たり前のようににテーブルにつく。なんてゲンキンな子だろう。僕はフォークとスプーンを二セット持って、僕の文と達哉の分、ナフキンの上に置く。
「僕がどうして家にいるのかきかないの?」
「き、きいてもいいのか?」
「きいてごらん?」
僕がにこっと笑うと達哉が身構える。ほら、いじめてほしいんだ。
「じゃ、じゃあなんで俺んちにいるんだ?」
「秘密」
達哉が思いっきり嫌そうな顔をする。ほーらなっていう顔。
「ウソだよ…ふふふ…今日は何の日でしょう」
「3月14日…さんいちよん?み・い・よ?」
テーブルの上に腕を組んで顎を乗っけてぶつくさ見当違いの答えを模索する達哉にじれてヒントを出してあげることにした。
「ヒント、バレンタインデーの一ヶ月後」
「あー…ホワイトデー?そういやなんか、コンビニにきれいな包装のお菓子とかがいっぱい出てたな」

チン!

グラタンができあがった音。
「あ、わかってると思うけどさ、バレンタインデーのアレは…おまえの誕生日だからやっただけでさ…な、なんかそういうのじゃないしな…」
「言うと思った…」
僕はちょっとむくれながらあつあつのグラタンのお皿を達哉の前にしいたランチョンマットに乗っける。そして僕の前にも。
「でも、二人でご飯を食べるのならかまわないでしょ?」
「あ、あぁ…」
達哉の顔は真っ赤になっていた。可愛いなと思いながら、じぃっと達哉がグラタンをふーふーしながら食べるのを見る。
「な、なんだよ…じろじろ見るなよ…」
「食べて感想言うまではじーっと見てる」
「ん…わ、わかった…」
眉間にぐっと皺が寄る。ホントにじーっと見られるのが嫌なんだ…?
達哉の口に僕の作ったグラタンが入っていく。ママのホワイトソースに硬めのマカロニ…達哉が喜んでくれればいいな。
「うまい…」
さっきまで皺の寄ってた眉間が開いて、達哉の茶色の目がきらきら光る。
「これすっごくうまいぞ!」
「…ふふふ…そう?」
「うん、うまい!」
ふーふーするのも焦れったそうにしながら、僕のグラタンを食べてくれる達哉。それを見て安心した僕もグラタンを食べる。ちょっといじわるを思いついて、一本だけマカロニを加えてじーっと達哉を見る。
「んっ」
くいっと顎を突き出して指示をする。
「お、おい、やめろよそういうの…だっておまえ…」
「んっ!」
今度はちょっと怒ったような顔をしながらマカロニを突き出す。良いから早く!
「…くそ…」
達哉は怒ったような顔をしながら顔を寄せてくる。短いマカロニは二人で咥えるにはとても短い。顔がすごく近い。達哉の顔が緊張でガチガチだ…。とても恐い顔。
ようやく達哉が咥えたのを見ると、マカロニをふっと吹く。
「ぎゃっ!」
達哉はマカロニから口をはなして後ろに転びそうになる。マカロニをちゅるんと食べて僕は大笑いした。
「あははは!変なの!」
「へ、へ、変なのはおまえだろうが!何しやがる!」
「だって達哉…可愛くなかったもの…やり直し…」
「か、可愛いってなぁ!」
真っ赤になる達哉が好き、あわてる達哉が好き、僕の前じゃかっこつけられなくなる達哉が好き。
「ね、達哉、僕は達哉のことが好きだと思う?」
「も、もうそういうのやめようぜ…俺の告白断ったのは誰なんだよ!」
でも、その言葉にさすがの僕もプツリと切れた。

誕生日の日、バレンタインデー、女の子が男の子に告白をする日。それなのに達哉は勇気を振り絞って僕に告白をしてきた。僕はいつもみたいにいじわるしたくなった。本当は真剣な場だってわかってた。

でも…僕は…

「それに対して僕はオーケーを出せばいいの?そうすれば、僕は君の何になるの?僕と君の関係はこれまで通りじゃだめってこと?」
「…っち、ちがう…」
達哉は手は器用でも、言葉を操るのはすごく不器用。
僕はそれを知っているからこうやって達哉をいじるのだ。
「ねぇ、君は僕とどうなりたいの?」
あんまり可愛いから、いじわるしすぎたんだあのときは。
達哉は真っ赤になって怒って、僕にプレゼントのチョコレートを押しつけたまま帰って行ってしまったんだ。
ホントは達哉が僕にどんな気持ちであの場に呼び出したのか知っていたのに。

僕は唇を噛む。またやってしまいそうだ。

「こ、断ってなんかないじゃない!勝手に勘違いして怒って帰っていったのはどっちだよ!」
「うっ…」
「…なんで僕が達哉の家にわざわざ来てると思ってるんだい?」
バンっと大きくテーブルを叩くと、お皿が軽く宙に浮く。突然の僕の剣幕に達哉はびっくりしている。

「なんでグラタンにしたと思ってるの?このホワイトソースにはどんな思いがこもってると思ってるの?なんでこのマカロニはちょっと硬めに茹でてあると思ってるの?」
僕は達哉の頬をガッと掴むと無理矢理キスをした。
これでいい加減、鈍感な達哉にもわかっただろう。

僕は言いたくないんだ。言葉にしたくないんだ。
でも達哉だってそうなんだろう?

僕と君の特別な関係、壊したくないんだろ?
安易に恋人なんて…そんなの…やなんだろ?

だから…だから濁すんだろう…?

ママのホワイトソースの味のキス。ごめんねママ。
こんな使い方されるなんて思いもよらなかったよね。
でもね、僕もこれからこのホワイトソース作るとき、きっといつでもママみたいにご機嫌な気持ちで作るんだよ。
だから許してね。

達哉がおずおずと僕の体を抱きしめた。

達哉…達哉…


END

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
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