ニューロフォリア ハッピーエンドアフター サンプル
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ハッピーエンドアフター サンプル

2013年6月30日 COMIC CITY 東京132 東2 G35b

新刊→ 罰達×橿淳「ハッピーエンドアフター」 A5/172P/1500円


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ニャルラトホテプがいなくなっても、
受験生してる場合じゃない!?

達哉は刑事、淳は教師を目指して受験のためにお互いに切磋琢磨、勉強をする。
ところがバンド活動にバイト、わずか3か月の間に次々と起こる事件、
周りが二人を放っておかない!
進むようで進まない二人の関係、もだもだしてる間に淳が誘拐されたって!?
S.S.FESってなんのこと!?果たして受験もどうなっちゃうの!?
大人たちや友人たちに見守られ、ハッピーエンドアフターに向けて突き進め!!
 その日は、なんとなく心がうずくから外へでてみた、ただそれだけだった。星も見えない、土砂降りの日。
「ありがとう。淳のおかげで……俺……最後まで戦えたんだ……」
 彼はそう言って、ほほえんだ。とてもぎこちなく。暗闇の中、街灯の光が照らすのは降り注ぐ雨。白い光を取り込んで、雨はいくつもの斜線を描く。ザァザァと激しく地上を叩き伏せる音は、すべてを暗闇の中に隠してしまう。
「それだけ言いたくて……」

――突然、橿原淳の前に現れた周防達哉は、謎の言葉を残して倒れて行った。

 淳は走りながら考えていた。黒須なんて呼ばれたのは初めてのはずなのに、達哉の声だったからかもしれないけれど、ひどく懐かしい思いがした。確かに母の旧姓は黒須だし、未だにデビュー当時から変わらず黒須純子で活動をしている。だから、そう呼ばれてもおかしくないといわれればおかしくないのかもしれないけど、どうしてこんな気持ちになるのだろう。
 突然カバンから着メロが流れて、あわてて立ち止まり、カバンの中を探り始めた。
「あっは、はい!も、もしもし……?」
 呼吸を整え、胸に手を置いて鼓動を確かめながら淳は息も絶え絶えに言った。
『え、あ、あぁ、淳くん……なんだかすまないね……お、落ち着いてからでかまわないよ?』
 電話は達哉のお兄さん、克哉からだった。
「あ、あぁ……はい……ちょっと、走って来たんで……」
 受話器の向こうから笑い声が聞こえる。淳はなんだか恥ずかしくなって顔を真っ赤にした。
『ふふふっ……もう大丈夫かな?実は質問を一つしたいだけなんだ……達哉を見なかったかなと思って……』
 達哉という言葉に思わずビクっと背筋をただす。そもそも、克哉から電話だなんて達哉のこと以外にないはずなのに、覚悟ができていなかったようだ。淳のところへは一応確認のために電話しただけなのだろうが、正解を一発で当てる彼の鼻はそうとうすごいなと思った。何事だろう?と淳の心臓がバクバクと高鳴った。
「えっ!た、達哉くん、さっきまで春日山高校にいましたけど」
『はぁ!?えっ……す、すまん……どうやら君が走っていた理由は、僕のせいみたいだね……』
 受話器の向こうでカチャカチャと音がする。相当あわてているのか、メガネを何度も直している音かもしれない。
『そのだね……病院で君の学ランのボタンを見つけてだね……いつか仲直りするきっかけにしろと言ったら……あいつまだ退院もしてないのに病院を抜け出して……』

――交錯する謎の記憶、今の自分が本当の自分なのか、それとも向こうの自分が本当なのか。

「なぁ、おまえナイフ持ってたよな……」
 ようやく何をされるのかに気づき、恐怖の表情を見せだした淳に舌なめずりをしながら男は言う。
「いーや。残念だったな……俺が持ってるのは……残念ながら、こ汚ねぇジッポーだけなんだ!」
「あっぢゃあああああ!!?」
 男が叫び声をあげて、思わず淳を押さえつけていた手を放す。頭を下げろという声に淳はあわてて頭を押さえてしゃがみこむ。その瞬間、頭上を黒い風が飛び、男が横に吹っ飛んで壁に打ち付けられた。
 淳の目の前に銀色のジッポーライターがカランと音を立ててリノリウムの床を滑っていく。それに気を取られているうちに、助けに現れた赤いライダースーツの男が襲いかかってきた相手の顎の下に手をたたきこみ、その体を壁に押さえつけた。それは圧倒的な力強さと、スピードだった。
 淳は後ろからナイフを使って襲ってこようとした男をみて悲鳴を上げた。
「達哉くぅん!後ろ!!後ろぉ!!」
「……へっ!あんがとよぉ!」
 ほんのわずかな動きでナイフを交わして、突きこまれた手を進行方向に引いて体勢を崩し鈍い音を立てて、顔面に鈍い音を立てて裏拳を叩きこんでいた。
「あああああああっ!」
 でも淳は感謝するより先に、はじめて見た目の前の暴力に悲鳴を上げた。達哉は淳の悲鳴にひるんだ。そして、じわじわと表情が怒りに変わっていく。
「ったく、ゲスどもがぁ!黒須がビビってんじゃねぇかよ!」
ナイフを握って倒れていた男の腹に蹴りを入れる。
「おごぇ!?」
「誰がみたってこんなほそっこいやつ、自分より弱ぇってわかるもんなぁ!この卑怯モンめ……てめぇらみてぇなのが一番気にくわねぇ!!」
 二度、三度と蹴りが入るたび、飛び散った唾液に血が混じる。向こうでは手を焼かれた男が母親を呼びながら手を押さえて泣いていた。
 達哉はいかついライダーブーツでトドメに顔面を踏みつけようとしたその瞬間、思わず淳は叫んだ。
「やめてぇ!もうやめてよ周防くん!これ以上やっちゃ……
ダメェ!」
 暗いビル内で、やっと男たちを倒した人間が淳の方向を振り返る。逆光で見えたその顔は、今までに見たことがないくらいに険しい表情で、ゾクっとした。淳は体を丸めながらも、キっと相手を睨み付けた。
「は……はぁ!?おめぇを助けてやったんだろうがよ!」
 ガスっとそれでもナイフを遠くへと蹴り飛ばしたあと、気に食わない男の顔に一発蹴りを軽く入れた。
 ガクガク震える淳に手を差し伸べる。
「れ、礼は言われても……ビビられる必要ねーはずだし……」
 淳は立ち上がるときに達哉のポケットに入れられていた淳の携帯のストラップが飛び出ているのを見つけると、バッとそれを取り上げる。
「んあ!?何すんだよ……」
「け、警察に通報するの!」
 淳はすばやく携帯のメモリーから電話をかけた。
「バカ!やめろって!」
 達哉があわてて淳の携帯を取り上げると、通話音のあと、受話器から聞こえてきたのは兄の声だった。
『じゅ、淳くんか!?どうした!!もしかしてバカ弟が見つかったのか!?』
「っあー……!警察……かぁ……」
 達哉は思わず情けない声を上げた。
『たっ達哉!なんでおまえが出るんだ!?まさか淳くんに迷惑をかけたんじゃないだろうな!!』
 受話器の向こうの声はあまりに大声で、淳の方にまで届いて来た。苦手な兄に怒られて、先ほどまで鬼のような形相をしてた達哉が情けない表情に変わっていくことがおもしろくて、思わず笑ってしまう。達哉を怒らせてはいけないと、あわてて口を押えたが、達哉はやっと安心の表情を見せた淳に、思わず表情を崩していた。
「わかった。捕まってやるよ……橿原にゃ……なんか敵わないな……病院に帰るよ……」
 でも、楽しそうに笑いながらも制服の前を掻き抱いている淳を見ると、表情を引き締めた。
 達哉はさりげなく淳にライダースーツの上着をかけてやった。淳は自分の胸が見えそうになっているのに気付いてほほを赤らめる。
「……あ、ありがとう、達哉くん……」
「……こっちこそ、なんかすまんな……」
 なんだかまた、謝るタイミングを逃してしまった気がする。淳にそっと、先ほど拾ったボタンを渡した。達哉のポケットにはもう一つ、ボタンが入っていた。

―― 最悪の出会いだった。僕の知ってる達哉くんは……こんな不良じゃない!

「あいつとは違うって言ったの、誰だよ……俺じゃんか……」
 いや、むしろこれでよかったのかもしれない。本当の記憶かどうかもわからないものに惑わされて相手を勝手に好きになるなんて間違っている。いっそのこと嫌われて、もう二度と会わない方がいいだろう。
「そうだよ……だいたいあいつ男じゃん……男とセックスするとかどう考えてもおかしい。向こう側の俺がおかしい」
 今でも向こう側の自分の心を思い出すだけで胸が苦しくなる。いつもみんなから一歩引いて悲しげに笑っている淳、それはまるで、今の達哉の姿そのものに見えた。しかし、達哉にとっては手を伸ばせば戸惑いながらも握り返し、弱気になれば励ましてくれた。共に並べばこわいものがなくなる、細くてか弱くて見えても、何よりも頼もしい存在だった。大切な親友であり、恋人。
 達哉は、そんな存在を手に入れた、向こう側の達哉がうらやましいと思っていた。
 体中に染み付いているくちびるのやわらかさ、あの細いからだの感触。男同士で好き合うなんておかしい、気持ち悪い。あの時は向こう側の自分をさんざん罵ってみたけど、後になればなるほど狂おしく相手が欲しくなる。あの満ち足りた安心感を味わってみたいと思った。
 そうだ。達哉が抱いている淳への思いは、必ずしも純粋ではない。どこか肉欲とつながっている汚い欲望だ。それを橿原淳に押し付けようとしていない、といえば嘘になる。相手だって困るだろう。何も知らない相手から一方的に欲求を押し付けられるのは。
「どうかしてるよ……顔がそっくり同じだからって、そううまくいくわけねーっての……」

 すぐにその言葉に反応して出てくる思い出はキッチリしたタイトスカートのスーツ姿で教育実習生プレイをしてくれた姿
……ぴったりとした素材で作られたタイトスカートから興奮した淳のものの形がくっきりうかび、それを授業中の生徒という役割で、じぃっとながめていると「こ、こら周防くん、どこ見てるの?」と言いながら、太もものあたりを押さえて恥ずかしそうに隠している姿だった。達哉は向こう側の自分はいったい何をやってんだとブンブン頭を振った。淳は真面目に言っているのに、こんな不誠実な妄想をしていてはいけない。


――こんな肉欲まみれな感情、あいつにぶつけていいわけがないだろう!?

――素直になりたくても素直になれない二人。
   それを見かねた兄は、淳にあるお願いをする。
    君ならいい家庭教師になってもらえるかなと思ったんだけど、どうだろう。

――そこからようやくスタートする、二人のハッピーエンドアフター。


「そこでですね……春日山高校の裏のアイドル、橿原淳がステージに立てば……盛り上がるんじゃないかなーとおもって……ですね……」
「……へ?裏のアイドル……?」

「淳がやるってんなら、俺も参加する」
 背中を向けたまま、達哉がそう言う。ぶつくさと「下からのアングルで撮影とか絶対許さねぇ」と小さく聞こえた。
「ミッシェルさん……こいつ……ギター超ウマイっす!」
 栄吉の子分が突然大声を上げる。
「こいつっていうな!」
 子分の頭に達哉のチョップが容赦なく襲う。かわいそうな子分はうめきながらしゃがみこんだ。
「あくまで文化祭の代わり、だろう?セブンスの生徒が参加するのってダメか?」
 栄吉は眉間にしわを寄せたが、ふんっと鼻息を鳴らすと言った。
「ちっ!態度は気にくわねぇが、おまえもセブンスのカリスマだなんだ言われてるもんなぁ……客寄せパンダにはなるか……」
 達哉は立ち上がると、子分から譜面台をとりあげて演奏を始める。尖っていて正確で耳に残る音だった。思わず子分たちは目を見開いて拍手した。栄吉も、しぶしぶうなずいて悔しそうに拍手した。
「……わかったよ。金を出してもいいくらいの演奏だった」

――受験生なのに……バンド活動……!?

 淳が目を付けていたのは、「居酒屋しらいし」だった。
「こ、ここのお給料……驚くほどいいんだよね……」
 淳はドキドキしながら、大人の世界への扉を開いた。

――受験生なのに……バイトまではじめちゃうの……!?

 その時、突然淳は後ろから羽交い締めにされ、口を大きな男の手でふたをされた。
「んぐぅっ!?」

「淳が誘拐されたって……身代金を要求されたらしい」

――もだもだしてる間に……淳が誘拐されちゃった……!?

「ねばねば、もっとたくさんでてきたね?」
 先端をくりくりといじられる。
「あっ……あぁ……っあ……」
 淳はやさしい表情であえぐ達哉のくちびるを奪いながら、滴る粘液を使ってくちゅくちゅと性器を刺激していく。淳は手の中でどんどん熱く、かたさを増していくものにだんだん興奮してきた。
「すごい……周防くんのすごく熱いよ……?」
 そして、ドクンドクンと脈打つのを感じて、淳まで「はぁっ」と熱いため息をついた。
「も、これ以上は……もっ……かしはらぁ……」
 ポケットからティッシュを取り出すと、先端にかぶせるようにして包み込み、なおも片方の手で刺激を与える。
「で、でるの?周防くん……僕の手……よ、よかったの?」
「あぁ……いい!橿原の指でもっと……もっと、しごいて……」
 ため息をつきながら、潤んだ瞳で達哉を上目づかいに見上げた。
「うん……周防くんの……いっぱいさわれて……うれしい……」
 なんてこと言うんだこいつはと思いながらも、頭がぼうっとしてもう何も考えられない。淳の体を強く抱きしめてそのままイってしまう。
「ふあぁ……だめ、周防くんっ……」

―― 大人たちや友人たちに見守られ、ハッピーエンドアフターに向けて突き進め!!

「セブンスでも春日山高校でもすっかり話題よ!非公式文化祭!S.S.FES!チケットの払い戻しをしてまわってたけど、誰もチケットを返したがらなかったんだって?」
 雅はマイクを向けられて照れくさそうにほほえんだ。
「え、えぇ……どうせ、またライブ再開するんでしょう?って……またチケット買うの大変だし、それなら次回の為に置いててもかまわない?って……」
「うーん。愛されてるわねぇー!」
 雅はうれしそうにほほえむ。

 達哉と淳は緊張の面もちで青葉野外音楽堂に集まった人々を見渡した。黒い学制服と水色の学制服が入り交じり、その後ろ半分はカラフルな私服で埋まっていた。
 これが最後になるだろう学制服を着るときが、こんなに大きなイベントでだなんて、不思議な気がするね、と隣に控えていたショルダーキーボードを下げた淳が声をかけてきた。
「そうだな……」
 MUSESがガスチェンバーの演奏に合わせて踊り、歌い始める。二人は視線を合わせ、全力を出して演奏した。今までしてきたたくさんの楽しい出来事、つらい思い、胸からあふれんばかりの喜びをこめて音楽に乗せる。栄吉は、ちらりと二人を見て、あんまりに幸せそうな様子に負けてたまるかとギターを弾いた。


――バンドにバイトに大事件!!
  ニャルラトホテプがいなくなっても、受験生してる場合じゃない!?

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
(★を@にかえてください!)

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