ニューロフォリア 【GBW3新刊】黒騎士-Un cavarier nero-
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【GBW3新刊】黒騎士-Un cavarier nero-

一応白雪姫・赤い寓話に続くジョルブ三部作……として作っていたご本がついに完結いたしました。
3月23日のGBW3で初頒布となります。よろしくお願いします。

黒騎士-Un cavarier nero-
R-18/A5/P72/600円

kurokisi_cover.jpg

今回も表紙デザインと挿絵を仮面党ネアポリス支部の
うお座カメーン、更紗三三さまにお願いしました。
いつもいつもお世話になっております!!おかげさまで原稿に集中できますペコペコ
kurokishi-sasie.jpg
この挿絵一枚でだいたいのあらすじがカンペキという……
GBW3のサークルカットになった時に一応心配だったから
ブチャラティに服が着せられたという><;;;;

だからこれ上げれば サ ン プ ル い ら な い よ ね ?……じゃなくて。

あと裏表紙の虹もさりげに意味がありまして、
これもみささんのアイディアによるもの。
毎回表紙や挿絵をお願いするたびに読み込んでくださり、
ポイントポイントを押さえてくれているとてもいい挿絵になっております……><、
ほんまブチャラティの胸の傷、ほんのわずかな文章だったにもかかわらず……
ある意味重要というか、これがあるかないかで変わる感じなんで、
とりあげてくださったのを見てあんまりの細かさにびっくりしました!!!

あ、中身ですね中身。挿絵紹介じゃなかったや……><;;;
あんまり長くなるのでサンプルにエロはありませんが、
三部作の中ではちょいガッツリある方、かもです。

サンプル↓
 彼は『運命』を愛し、『運命』に連れて行かれた。
 いつしかぼくはそう考えるようになった。絶対に敵わないライバルだ。しかし、あきらめの気持ちでこう考えるんじゃない。彼を連れ去った『運命』というやつの顔を真正面から見据えて、一矢報いてやろう。そう決めたからだった。

「ポルナレフさんはぼくの父を知っているんですよね?」
 机の上に一冊の本を置き、革張りの事務イスにもたれ掛かる。書類の山をのろのろとくぐり抜けて、机の上を一匹の亀がやってきた。その体には似合わぬ鋭い目をした顔をこちらに向けようと首を伸ばし、ぼくを見上げた。
「珍しいな、ジョルノが父親のことを聞きたがるなんて」
 ぼくの手の下に置かれた本はオスカー・ワイルドの『ほしのこ』。身なりの貧しい両親を卑下したせいで、この「ほしのこ」は試練を受けることになる。
 人間が一番最初に『運命』という何かに気づくのは、自分では両親を決して選べない、と気づいた時ではないだろうか。ぼくはその両親をずっと無視して生き続けてきた。
「いえ、もうそろそろ、ちゃんと知るべきかなと思いまして」
 だけどようやく、組織もまとまって来たし、真正面からライバルを見据える時期が来たのだと感じた。ぼくより少し背の高いブチャラティが、空を見上げた時の横顔を思い出す季節になったから。
 また春がやってきた。肌に新しい時代を連れてやってきた春風を感じ、太陽の光を満面に受けた白い壁のぬくもりを感じた。街を歩けば、あふれる花々の香りが鼻をくすぐった。春はぼくたちに哀愁を連れてくる。

――ローマでの戦いでボスを倒した後、
   急激に吸血鬼化が進んだジョルノはスタンド能力を失った。
    自分の夢であるギャングスターになる夢を叶えた彼は、
     今度はブチャラティの夢を叶えるため、ネアポリスを変えようとする。

 トリッシュが人差し指で赤子をあやすが、赤子は不満そうにアッアッと今にも泣きそうな声を上げた。
「どうしたんだい?その子、ミスタとトリッシュの子なのか?」
 ふふっと笑いながらトリッシュに近づいた。トリッシュは顔を真っ赤にして今にも湯気を吹き出しそうだ。
「バババババ、バカなこと言わないでくれる!?」
「そ、そうよそうよ!バカなこと言わないでくれるぅ!?」
 ミスタが地団太を踏むようにしてトリッシュの口調をまねする。トリッシュは真っ赤になってうつむき、膝を弾ませて赤子を揺らした。
「まったく、しょうがないな、頼りないパーパとマンマで困るだろう?」
 ほほえみながら赤子の顔をのぞき込む。まだ目も開かぬ赤ら顔。まだ薄い黒髪に指を滑らせて頭皮を撫でる。赤子はまたアッアッと声を上げると、マカロニよりも小さな指で、自分に触れた手をとらえようとむずがった。
「この子は……神の落とし子よ……」
 トリッシュは言葉を選んでそういった。
「きっと洗礼さえも受けてない」
 神から愛を受けないと言うことは、誰からも愛されない不幸な命ということ。ぼくは不憫に思いながら、その小さな手に人差し指をつかませた。力も弱く、簡単に振りほどけてしまいそう。
 今は生命力を奪って生きる生物になってしまったが、今でも相手の生命力をその血流で感じ取ることが出来た。
赤子の生命力は微弱だ。母親から初乳はもらえたようだが……そこから先はどこかに放置されていたのだろう。まるで自分のようだ……いや、ぼくよりもひどい境遇に置かれている……この子をどうにかしてあげたいと思ったが、今のぼくにはどう対処していいかわからない。せめて、ゴールド・エクスペリエンスがいれば……。
「ねぇ、今日が何の日か知ってるでしょ?」
 トリッシュは言う。今日は4月6日。ちょうど一年前に全ての決着が付いた日。ギャングスターになるという大きな夢が確実になった日。そして……神に誠実すぎるゆえに人間離れしていた彼、ぼく達の愛したブチャラティが亡くなった日。
「だから私たちここに来たんだけど……この宿の親父さんがこの赤子を抱えて困っててね……どうしたの?って聞いたら、捨て子だって……」
 おなかが空いているのだろう。握りしめたぼくの指をちゅっちゅっと吸った。

――ブチャラティの命日に拾われた、洗礼も受けていない赤子に
   不思議な縁を感じ、ブローノと名付け、孤児院に預ける。

――血縁、親と子、ブチャラティが生きていた頃に忠告を受けていたことを思い出す。
   ずっと避けていた『運命』と、戦う時が来ているのかもしれない。

「ぼくは自分で星形の痣を確かめたことがないし、結局この写真じゃ顔もわからない……もしかしたら別人かもしれない。ぼくは、あの神父にからかわれただけなのかも」
 そう言って笑うと、ブチャラティは悲しそうな表情を浮かべた。なんだかそれが意外だった。
「そもそもぼくは黒髪だったし。もし本当にこれが父親の写真なら……その神父はちゃんと顔が映った写真を持ってくるはず……そもそもあの神父自体があやしい人間で……」
 人差し指がそっと、くちびるにおしあてられる。
「これだけヒントがあるのに、なぜ、星を探さない?」
「……っ……」
 その言葉にムッとしてブチャラティをにらみつける。でもなぜか言葉が上手にでてこない。ブチャラティのその表情はとても無邪気で、疑問以外のなんの表情もうかがえない。
「ぼくにはもう父がいるし……さ、探さなくてもいいと思ったんですよ。あなたに話したでしょう?ぼくを救ってくれたギャングの事を……彼さえいればぼくは……大丈夫だから……」
 人には三人の父親が与えられる。産みの父である肉の父と、名付けてくれた聖霊の父、そして、天からぼくたちを見守る父。
「自分の血統を知ることは、自分の運命を知ることでもある」
 これだけ言ってもブチャラティは詰め寄った。少しうんざりしたような表情を浮かべると、そうはなるかと首を横に振られた。運命に傾倒したがるのはブチャラティの悪いクセだ。
「ぼくはロマンティストじゃあない。どこかにいる父親になんて興味はない。今を生きることで精一杯だ!それに……大体、ぼくを心配しているというのなら、せめて死ぬ前に父親の方からぼくを見つけに来るべきではないですか」
 そうだ、あんな神父を寄越したくせに、それから先、あの神父からすら音沙汰がないじゃないか。

―― 一方、街の情報屋をまとめて新聞社をやっているフーゴに依頼し、
   謎の神父エンリコ・プッチと再会を果たす。

―― ようやく父の血を受け止める覚悟ができたジョルノは、
    十一年ぶりに孤児院にいるもう一人の『ブローノ』に会いに行くことにした。

 赤子の頃はどんな目の色をしているのかすらわからなかった。ただ、ブチャラティの命日に出会った黒髪の子だったから『ブローノ』といたずらに名付けただけだ。どこかにこの子が生きているというだけで、ネアポリスがもっと大事な街に思えるから……もっと、彼の願いを叶える覚悟をできるだろうと思って……。そんな、生き返りを信じるなんてこと、ほんの冗談でしか思っていなかったのに……。
「聞いていたとおり……システィーナ礼拝堂の……天使にそっくり……」
 ほほを赤らめ、涙でびしょ濡れになった顔でにっこりとほほえむ少年に心臓がまた飛び跳ねた。
「……シスターがね、私が忘れてしまう前に教えてあげましょうって……一度だけシスティーナ礼拝堂に連れていってくれたんだ……ちょうどあんな風な美しい、金色の巻き毛をした少年だったわ……って……」
 しゃべりながら感極まったのか、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「……だから……ぼくは君のゴッドファーザーじゃ……ない!人違い……だと……」
 じっと見ていられずに少年から顔を逸らした。涙がほほを伝い落ちそうになったのをあわてて拭う。
「あなたが……ギャング……だから?」
 グッとスーツを引く手の力が強くなる。この子ども、侮れない……はずし忘れていたスーツの襟の紋章を目ざとく見つけてしまった。
「お話、ききたい……あなたのお話……たくさん聞きたい!一日だけでいいんだ!」
 そっと、しゃくりあげる少年の肩に両手をおいた。
「……わかった……わかりました。あなたのゴッドファーザーごっこをしてあげればいいんですね……」
 少年はようやくスーツを握った手をはずす。
「……あ、あなたの名前は?」
「……ブローノ……」
 そっと手を握ろうとすると、ブローノの手は緊張にふるえていた。しかし、子どもの体温はとても、あたたかかった。
「オレ、ずっとこうしてパーパに手を握ってもらいたかったんだ」
「しかし困ったな、ぼく、まともな恋もしたことがないのに、もう子どもだなんて……」
 すっとぼけるぼくをブローノは怒った顔で見上げた。彼の顔を見ていると、なんだか少しだけ、心の奥底で何かが満足するぼくがいた。彼は、ブチャラティではないし、性格だって似てもつかない。でも……なんだか、ずっと彼に見上げてほしかったという願望が満たされたような気がした。

―― プッチ神父が持つ石の矢と、ジョルノが持つ石の矢、
    二つの石の矢が指し示す運命は平行する。

「天……国……」
 ぼくの腕の中にいたブローノはぼくの愛した記憶の中のブチャラティそのままだった。
「あの神父が言っていた『天国』がここだって?」
「ソウダ。アナタハ奇しくモ、知らぬ間に父ト同じ運命ヲ辿ったノダ」
 ゴールド・エクスペリエンス・レクイエムは感情のこもらぬその瞳で、じっとこちらを見つめていた。

「アナタは彼と会うコトデ貪欲に、サラに生命のソノ先ヲ望むヨウニナッタ……さん・じょるじょ・まっじょーれノ奇跡ハ偶然ダッタガ、アナタヲ貪欲ニスルニハ十分ダッタ」
 そういう関係だったからこそ、ぼくはこの世界の理をくつがえしてでも、この先もブチャラティに生きてほしいと思ったし、これで『運命』からブチャラティを救えたとも思った。しかし『運命』はぼくが与えた『生』という結果を使ってさらにブチャラティに試練を与えた。
「アナタが最も畏れてイルノは『終わり』ダ」

――加速する時の中、わずかに与えられた
  『天国』という空間の中、二人は再会する。

「……あ、あなたに……ほめられるなら……この十一年間の孤独も……無意味じゃなかった……」
 ぼくが笑うと、ブチャラティもぼくの肩に顔を埋めて笑う。
「ああ、無意味じゃなかったな……本当にいい男になったよ……」
 ただ運命にもてあそばれた十一年間。あなたといた一週間と少しの時間、そこにあった輝きはなかった。だけど、ぼくは自分の『運命』と戦う強さを身につけた。
 血と麻薬と怨執、まだ若く手段の無かったぼくは、抗争を力で押さえ込むしかなかった……道を間違えたかと不安に思ったこともあったが……それでもぼくには『覚悟』があった。
 ただ、あなたの願った麻薬のない、街の人々が屈託なく笑うネアポリスが見たくて……。そうしてがんばっていたから……あなたに頼られる男になれただろうか……?

―― 二人を追い立てるように聞こえてくる
    一頭の馬の駆ける音、その三拍子に二人は円舞曲を聞く。

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大幸妄太郎

Author:大幸妄太郎
ペル2(達淳)・ドリフターズ(とよいち)に
メロメロ多幸症の妄太郎です。女装・SMが好き。
ハッピーエンド主義者。
サークル名:ニューロフォリア
通販ページ:http://www.chalema.com/book/newrophoria/
メール:mohtaro_2ew6phoria★hotmail.co.jp
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