本人不参加でしたが、GP3でたくさんの方が本を
手に取ってくださったとお聞きして、大喜びしております。
本当にありがとうございました!!BGBアンソロ「Buona vita!」でお世話になりました、いとうさま。
そして、素晴らしい合同誌をまとめてくださり、スペースを管理してくださった、
みささんに改めて感謝を申し上げます!!
お世話になり、本当にありがとうございます!!そして、ここでお詫びが二つ……。一つがですね……黒騎士の完成原稿のデータを
このバカめが……紛失しておりまして……!!
そのかわり、少し時間がかかってしまいますが、
推敲前のデータと、ご本を元に加筆修正を加えてネットに上げたいと思います!!
せっかくCredor.にも黒騎士アップしますので!!とか書いたのにな……このおバカめ!!
そして、もう一つが、今度の4月辺りに向けて書くジョルブ本が
ジョルブの最後の本ということにしたいと思っています。
なんといいますか、すごくループしている感がありまして、
5部が完璧すぎるのと、ジョルノとブチャラティがすごすぎるので、
結果的に「希望あふれる結末」なのは絶対として、
なるべく原作をいじりたくない、けれどあんまりに
唐突なパロディをすると、自分が許せなくなってもがいて、
毎度5部を読み直してはため息をついておりました。
次に書く内容は、
死んだところから、
ブチャラティがループするお話です。
本当にもう、どん詰まり行き詰まりなのですが、これを書いたら本当に、
私の中でジョルブが完結してしまうだろうなと思っております。
最後までしっかりと、希望あふれる結末で、ジョルノとブチャラティを
カッコよく書いて、これが私の中での結論です、
と言えるような、そんな作品に仕上げたいと思います。
本当に憧れのジャンルだから、これだけ苦しくてもがくんだろうなと思います。
愚痴を聞いてくださり、ありがとうございました。
これから、いい本を書くための勉強に時間を費やします。
仮タイトルは「Golden Bright Hopes」です。
……の前に黒騎士のアップをがんばります!!
という決意を見てもらうために、序盤だけアップしておきます。
次アップするときは完成品だといいな!!
↓黒騎士 第一章 星の子 の一部です!!
彼は欲望をコントロールできる人間でなくてはならない
権力欲や名誉欲 金欲・色欲のない人間で
彼は人の法よりも 神の法を尊ぶ 人間でなくてはならない
いつか そのような者にこのDIOが出会えるだろうか?
――ジョジョの奇妙な冒険 Part6 ストーン・オーシャン文庫版 194P
2001/03/×× パッショーネ執務室
彼は『運命』を愛し、『運命』に連れて行かれた。
いつしかぼくは、そう考えるようになった。
絶対に敵うことのないライバルだ。
しかし、あきらめの気持ちでこう考えるんじゃない。
彼を連れ去った『運命』というやつの顔を真正面から見据えて、
一矢報いてやろう。そう決めたからだった。
「ポルナレフさんはぼくの父を知っているんですよね?」
机の上に一冊の本を置き、革張りの事務イスにもたれ掛かる。書類の山をのろのろとくぐり抜けて、机の上を一匹の亀がやってきた。その体には似合わぬ鋭い目をした顔をこちらに向けようと首を伸ばし、ぼくを見上げた。
「珍しいな、ジョルノが父親のことを聞きたがるなんて」
ぼくの手の下に置かれた本はオスカー・ワイルドの『ほしのこ』。身なりの貧しい両親を卑下したせいで、この「ほしのこ」は試練を受けることになる。
人間が一番最初に『運命』という何かに気づくのは、自分では両親を決して選べない、と気づいた時ではないだろうか。ぼくはその両親をずっと無視して生き続けてきた。
「いえ、もうそろそろ、ちゃんと知るべきかなと思いまして」
ようやく、組織もまとまって来たし、真正面からライバルを見据える時期が来たのだと感じた。ぼくより少し背の高いブチャラティの、空を見上げた横顔を思い出す季節になったから。
また春がやってきた。肌に新しい時代と共にやってきた春風を感じ、太陽の光を満面に受けた白い壁のぬくもりを感じた。街を歩けば、あふれる花々の香りが鼻をくすぐった。春はぼくたちに哀愁を連れてくる。
もう街の人々が笑顔を向けていた、あの大きな体はぼくの隣にはない。少しだけさみしくなって手を握りたいなと思っても、ぼくの隣には、手をつなげる相手はもういない。
彼が残してくれたのは、ネアポリスから麻薬を失くし、街の人々が幸せに暮らせる街にするという願いと、童話と言う宝物。疲れた時にふっと手を伸ばすと、その単純な願いと、わずか数ページの物語はやわらかい響きで脳に染み渡り、彼との思い出をやさしく揺すぶった。その単純な構造に安心する。そこにはいつも奇跡があった。
たまに、ぼくを叱りつけるような童話もあったけれど、それすらも宝物だ。その童話はぼくに安全に、間接的に失敗を経験させてくれるから。
亀は困ったように一度視線をはずし、そしてもう一度つぶらな目を見開いてぼくを見た。
「どちらの、父親をだね?」
きっと亀と話すぼくは、童話の人物のようだろう。
「あなたの、よく知る方の父を……」
ポルナレフさんは遠くを見つめて、ふぅ……とため息をつく。
「Dioかね」
「あるいはディオ・ブランドー」
腕を組み替えて机にうつぶせる。亀と視線を合わせて、まるで寝物語をねだる子どものようにまばたきをした。
亀はゆったりと語りだす。その歩く人間の頭蓋骨そのままの姿で。はるか過去Dioと名乗った王は己の力に絶対の自信を持ち、誰も信頼しなかった、と。そのやり口は卑怯で残忍、しかし彼は闇の中一人、堂々たる悪の王であったと。
語り終えた亀は、しばらくぼくの方を見ていたが、やがて首を振った。
「過去は情報でしかない。これが全てだと思わんことだ。彼が崇められていたのは事実だが、オレはDioの非道も見てきた。被害にあった。だから決してフェアな語りは出来ないだろう。息子のおまえが望むものを与えられたかどうか……。それに、今は目の前にある戦いが重要だ……過去に縛られるのはいい事とは言えないな」
「……そうですね、ありがとうございます。単なる興味にすぎません……仕事には影響がないようにします」
父がどんな人物だったか、そんなことにはあまり興味がなかった。父はもう死んでいたからだ。トリッシュ、彼女がぼくの目の前で経験した血の繋がりによる『運命の連鎖』。ぼくにはそれは当てはまらないと思っていた。もう父は死んでいる。ぼくには何の影響も及ぼさない……そう思って無視して生きてきた。
「そういえば承太郎がこんなことを言っていた。DIOは天国を目指していたと……」
しかし二年前、母と同じ黒髪だったはずなのに、あやしい神父からもらった父だという写真の男と同じ金髪に突然染まり、以前から当然起こるものだと思っていた、生命を生み出す奇跡は形を持ってぼくの前に姿を現した。彼はぼくにゴールド・エクスペリエンスと名乗った。ポルナレフさんによればそれはすべて『父の血』によるものだと知らされた。ぼくの二人の父はどちらも話題にさえ出なければ一生知ることが無かった父だ。しかし、運命はぼくの無知を許してはくれなかった。
そして今、ぼくはさらに『父の血』に振り回されて今、ゴールド・エクスペリエンスと別れを告げて、吸血鬼となった。
昼間に寝て夜に起き、血流のようにネアポリスの暗部を巡るパッショーネを動かした。
太陽の祝福を父は与えてくれた。そして太陽の祝福を父は奪った……。
だが、どちらの乳を恨む気持ちもないし、これから先、意識することもないだろう。ただ偶然、皮肉にも、昔Dioと名乗る父がそうしたように、夜の闇に過ごし、肉の芽ではなく恐怖で人間を縛り、動かしている。
「ポルナレフさん、ぼくは父に似ていますか」
亀の目がギロリと光ったように見えたのは……一瞬だった。
「私は……おまえを信じているよ」
彼はぼくの監視役だ。もしぼくが正義に反することを始めたら、すぐに始末しようとするだろう。ただ、ぼくはブチャラティの言葉をきちんと守りたいと思っている。ネアポリスを麻薬の無い平和な街にすること、この目標がなくなったとき、ぼくは父の血にほんろうされて『正義の心』を亡くすのだろうか。
「ギャングスターになるというのは想像以上の淀みを受けるものなんですね」
机においた写真を傾ける。護衛チーム全員でとった唯一の写真。ブチャラティは何に気を取られたのか、少しとぼけた表情に写っている。この写真はなんとも彼らしくて、見ているだけで笑みが浮かぶ。
「ブチャラティとの出会いがないまま、ギャングスターになっていたらと思うと……少しおそろしいです……」
亀の表情が少し笑った……ように見えた。
「ああ、だからおまえを信じられるんだ」
人を疑い、肉の芽を使い、思うがままに人を操る父は暗闇の中、ただ一人だたに違いない。彼には『友』はいなかったはずだ。
母や、腹の中にいたぼくを実験体としか見なかった彼には、誰かをこんなにも愛する気持ちがわかるまい。
「おまえが誠実に人を思いやれる人間だから信頼できる。誇りに思える良い友を持ったな」
「……ええ……」
思わず視界が霞んだ。
「ジョルノ、おまえは間違いなくジョースターの血統だ。今でもそう感じている。無用な心配はするな」
「……グラッツェ……」
二人の父の血が、ぼくの中には流れているという。
吸血鬼であり暴君であったDio、ディオ・ブランドー。
あと一人はジョースター家の血筋、ポルナレフさんもその源流を知らないというが、その血筋の人間が持つという黄金の魂をぼくに感じると、そう言ってくれた。
ぼくは、あの一週間と少しの大激変で全ての運命を乗り越え、生きる意味であった、ギャングスターになるという夢を叶えた。全ては彼と彼の仲間たちが支えてくれたから。だからこれからはブチャラティ、彼の夢を叶えるために生きていく。
太陽の光に当たると、肌が火傷したように赤くはれて水膨れができ、鋭い痛みを残す。しかし、じっとしていれば一日とたたずにその傷は跡も残さずに治った。
食事はあまりとらない。死んだ食材を口に運ぶとこちらまで疲れてしまうからだ。しかし、腹持ちはいい方で、そうしょっちゅう食事をしなくても大丈夫なようにできている。
身体能力も普通の人間の倍になり、夜になれば、唯一の恐怖の対象である太陽も消えて、何一つ怖れるものもない。歩いての行動範囲もずいぶんと広がった。一晩であればネアポリスの端から端まで行けるかもしれない。しかし睡眠は必要なようで、律儀にも昼の時間になれば自然と眠気がおそってきた。
ポルナレフさんはぼくが眠っている間、ミスタを通して指示を出していた。全てを任せて安心して眠る。星形の痣のある左肩に触れるようにして……目の前には、もう一人の父、ディオ・ブランドーの写真を入れた定期入れを置いて。
ぼくは、どちらの父の『運命』を引き受けるのだろう。
『運命』を真っ直ぐに見つめたあなたなら、それも見えていたのだろうか。もっとぼくが父に興味を持っていて、あなたがもう少し長い間ぼくのそばにいてくれて……ぼくの……星をいっしょに眺めてくれたなら……それも、今頃はわかっていたのだろうか……。
今さらながらこうして、後回しにしていた『運命』に振り回されている。ぼくはあまり後悔しない人間だと思っていたが、彼を失ってからは、過去を振り返って後悔するようになった。